Gravity of Love④ (8.6K)

「……ん、……くん、弾くん」

 ……ん?誰の声だ?
 真夢の声……じゃねえ、男の声だなこれは。でも甘くて良い声……男の俺でもそう思うようなイケメン声……
……イケメン……??

 ハッと目を覚ますと、そこには……
「あ、弾くん。気付いた、おはよう」
「え?あ?おはよう……ございます……?」
ぼんやりした頭と視界が少しずつ晴れていくと見えてきたのは……
男の俺でもイケメンだと思うしかねえ、顔も声も髪も綺麗な長身の金髪イケメンが俺を覗き込む姿だった。
「……幸夢さん……?」
「そう、俺。弾くん、真夢をありがとね」
「真夢……まく……!!!!!」
 そうだ!!俺は今真夢のベッドの中で眠こけちまってたんだ!!!
バッ!!!と隣を見ると、真夢はまだすやすや幸せそうに眠っているが、俺にしがみついて離そうとしない。
「お楽しみのところごめんね、ちょっと早いけど帰ってきたんだよ」
「おっおた!!?いやあの!!その、えーっと!!俺達は何も……いや、とにかくすんません!!!」
俺がガバッ!!と起き上がろうとするのを幸夢さんは優しく制する。
「いいよ、そんな飛び起きなくても。真夢引っ付いてるし、弾くん重いし真夢は痛むだろ」
 いやいやいや、溺愛してる妹のベッドに自分のスウェット着たよその男が妹と寝てたら気分悪いどころじゃねえよな!?
それでも幸夢さんはにこやかに笑いながら俺達を見ている。
「う、うーーん、あれ?お兄??」
俺たちの声で真夢がむにゃむにゃと起きる。そして俺と目が合うと……
「お兄!?弾くん!!えっと!?これは!!」
「何焦ってんだお前。真夢、体調はどうだ?大丈夫か?」
俺と同じように焦った真夢が目を白黒させている所に、幸夢さんは通常運転で声をかける。
「う、うん……昨日よりはだいぶマシ……ありがと。でもさ、お兄帰るの早くない??」
時計を見るとまだ三時頃で、夕方の一歩手前って感じだ。
「だからお前が心配だから急いで帰ってきたんだよ。だけどこれは、かえって邪魔だったかな」
二人してぶふっ!!と息を吹き出した俺たちを見て幸夢さんはケラケラ笑う。
「一つだけ聞いていいか?天才イケメンお兄ちゃんが」
「いや、いいけど……自分で言わないでよ??」
兄妹ならではの会話を繰り広げているが、幸夢さんはどこからどう見てもその通りの天才イケメンなので頷くことしかできない。
「これは……お前達、上手く行った、でいいんだよな?」
 かっっっ!!!と音がしそうなほど赤くなった俺と真夢を見て、幸夢さんは満足そうに笑うと、真夢の机の上の写真立てを見る。きちんと飾られているそれを見て幸夢さんは幸せそうに微笑む。
「お前ら、やったな!」
「「!!!!? やってません!!!」」
顔からダイナマイトが爆ぜたんじゃないかと思うほどの真っ赤な顔で俺と真夢がそう返すと、幸夢さんは一瞬ぽかんとしたあと、大口を開けて大笑いした。
「あは、あははは、あはは!あーーーーーーっはっはっはっはっ!!!あーーー苦しい!!あはっ、あははは、やめてくれよあははは!!!!」
キレーな顔を思いっきり破顔させて涙を流しながら腹を抱えて大笑いしている。しかしそんな姿もイケメンだ。
俺と真夢が面食らっていると、幸夢さんは笑いを堪えながら口を開く。
「あはは、あは、流石の俺でもそんなこと聞かないよ!いや、正しくはそんな聞き方はしない?かな??」
「「???」」
「おま、お前らやったな、って、普通に良かったな!って言った、だけなのに、ふふふははは、やってませんて……そっちのやるやらないじゃないよ!あははははははは!!!」
幸夢さんの言葉を聞いて俺と真夢はゆっくりと顔を見合わせる。そして、さっきの二倍のダイナマイトが顔で爆ぜる。
「うっ、くくっ!そもそもこんなんじゃ出来ないでしょ?いや俺わかんないけどさ。この状態でイエスがかえってきたら弾くん鬼畜だよね?」
「「あああああああああ!!!」」
俺と真夢は顔を覆って布団に突っ伏する。突っ伏できない真夢は手で顔を覆って悶絶している。そんな俺達を幸夢さんは同じく布団に突っ伏して大笑いだ。
「よかったな、って言えばよかったか」
泣き笑いながら言う幸夢さんに真夢は
「そうだよ!!!!紛らわしい言い方するから!!!」
これでもかとくってかかる。ああそんな姿も可愛いなこれはこれで飯三杯いけるな……なんて思っていると、
「それはそんなことで頭がパンパンだからだろ?このすけべ妹がよ♡」
幸夢さんに三倍返しされ、ついでにそれは俺にも当たっている。超痛え。
ぐぬぬぬぬ、と怒りのオーラを出している真夢だが、ひとしきり笑い終えた幸夢さんが元の綺麗な笑顔で
「でもまあ、近い将来そうなるだろ?よかったな。からかって悪かった」
そう言って真夢の頭を撫でると、真夢はふくれっ面をしながら言う。
「お兄も大概の事言ってるのにずるいじゃん……」
「ははは、そんなのいつもだろ?」
そう言って微笑むと、俺の頭にもポンと手を置きながら言う。
「二人ともおめでとう。幸せになれよ!」
その言葉に俺と真夢は顔がほころび、はい!!と二人でハモって返事を返したのだった。
そんな俺たちを幸夢さんは満足そうに見つめ……そして思い出したようにこう言ったのだ。
「あ、そういえば俺も話があるんだった」
「「え?」」
俺と真夢がそう返事をすると同時にパタパタパタと階段をのぼる音が聞こえ、俺たちはギクっ!!とする。
「うん、俺が何とかするから、とりあえず弾くん、申し訳ないけどそこから一旦出てくれる?」
そう言われて俺はハッとして、差し出された幸夢さんの手を借り慌ててベッドから降りる。そしてそのまま幸夢さんの隣に座ると、あとは任せて、と幸夢さんはウインクをする。イケメンが過ぎるぜ……!
「真夢、大丈夫?具合どう?」
ガチャ、と部屋に入ってきたのは、真夢のご両親だった。
「こんにちは。お邪魔してます、すみません」
慌てて俺が挨拶をすると、二人は申し訳なさそうに言う。
「弾くん、こんにちは。真夢の面倒を見てくれてありがとう」
「すっかりご迷惑をおかけしちゃってごめんなさいね。でも弾くんが付いててくれたから安心だったわ」
「いえ、そんな……!俺は大して何もしてませんから」
そう言うとご両親はとんでもない!と言いながら俺に頭を下げる。俺は恐縮しながら頭をさげた。
「ええと……今朝から来てくれてたんですっけ?」
そう真夢のお母さんが聞いてくるので俺は内心ギクッとするが、幸夢さんとそういう手筈にすると約束していたので「はいそうです」と返事をしようとすると……
「違うよ。弾くんは昨夜からずっと一人で真夢の面倒をみてくれてる」
「「え?」」
「「!!!!???!!?!」」
幸夢さんの言葉に、その場にいた四人ともが驚き、そしてご両親が同時に俺の方を見る。
「す、すみません!!あの、いや!!」
俺がしどろもどろになって慌てていると……
「俺が頼んだんだ。弾くんは引き受けてくれるって言うし、弾くんなら物理的に力もあるし信用できる」
幸夢さんはしれっとそう言う。そして驚くご両親にさらに……
「好き合ってるのは俺も知ってたけど、それだけじゃなくちゃんと二人は恋人同士になったみたいだし」
「ちょっとお兄……!!?」
(好き合ってるの知ってたって何!!?)
真夢も慌てるし心の中のカッコは俺も同感だが幸夢さんは止まらない。
「だって、一人で置いておくの怖かっただろ?一人じゃ起き上がることもできなかったみたいだし」
「それはそうだけど……」
その言葉に俺が何か言おうとすると、幸夢さんがそれを手で制して言う。
「だから弾くんはずっとここにいてくれたんだよ。今日たまたま少し早く帰ってこれたけど、家がピカピカなのも買い出ししてくれたのも、外に出てる洗濯物も全部弾くんのお陰だろ」
「それは……色々ついでにやっただけで、かえって申し訳ないっす」
俺がそう言うと幸夢さんはニコッと笑ってくれる。
「……そうだったのね」
真夢のお母さんはそう言うが、隣のお父さんはまだ困惑しているように見える。まあそりゃそうだろうな……と思っていたら、幸夢さんがまた口を開く。
「俺がこの服も一式着なよって貸したんだ。そんで自分の服は勤務明けだろうし洗濯しなよって。だから寝巻きなだけで、心配するようなことはあるわけないだろ。そんなことするような子じゃない」
 うっ!!若干そうでもないことも色々あって胸に痛いが、ご両親もそれで納得してくれたようで、なるほど……と言いながら頷いている。
「弾くんは本当にいい人ね。大変だったでしょう、本当にありがとう」
「真夢には勿体ないくらいです。ご迷惑をおかけしてすみませんが、これからもよろしくお願いします」
ご両親は俺にそう言ってくれる。俺は恐縮しながら頭を下げテンパリつつ
「いえそんな!こちらこそ不束者ですがよろしくお願いします!!」
そう俺が言うとお父さんもお母さんも笑ってくれたので俺もホッとする。そして……
「良かったわね、真夢。大好き♡な弾くんが一晩看病してくれるどころか、恋人にまでなってくれて♡」
「そうだな。幸夢が気に入ってるってことは安心していいしな。そうじゃなくても弾くんなら私たちは大歓迎だけど」
両親に揶揄われて真夢は顔を真っ赤にしながら布団で顔を隠す。
「二人とも、弾くんに変なこと言わないで!!」
「なんだよー事実だろ?な、弾くん」
「そうよ。絶対弾くんじゃないとダメ!!って言ってたものね。うるさい娘だけどよろしくね、弾くん」
お父さんたちは俺にそう言って笑いかけてくれる。俺はその笑顔に見惚れながら……
(ああ……俺って本当に幸せ者だな)
そう心から思ったのだった。

 ご両親が部屋を出て行った後、幸夢さんはくるりとこちらを見て満足そうに笑う。
「良かった。これで俺も変な嘘をついたり女の子達と口裏合わせずに済んだよ」
どうやらミカやカンナが夜番をしてくれていたことにしてもらおうとしていたらしい。
「そうだけど!!恥ずかしい!!!」
真っ赤になって怒る真夢に、
「あ、あとな、コレ」
そう言って幸夢さんは何かを真夢にポーンと放り投げた。
「何?こ…… !!!!!!!」
手の中の物を確認した真夢がわなわなと震え出す。
「何だ?……あ」
それは……さっき俺が洗濯して干した、真夢の(元)ぐしょぐしょパンツだった。
「流石にそれは見つかるとちょっとめんどくさいかな、と思って。乾いてるの確認して俺が外しといたんだ」
「だからって!!!!!」
真っ赤な顔で真夢は絶叫するが、幸夢さんはあっけらかんとしている。
「いいだろ別に。俺がお前のパンツに何の感情も湧くわけないんだから」
「そうだけど!!てかそういう意味じゃないでしょ!?あとどういう意味でもダメ!!」
そう言ってプンスカしてる真夢に、俺は恐る恐る声をかける。
「……まあまあ真夢、確かに親御さんに見つかるよりは……」
すると真夢はキッ!とした目で俺を睨みつける。
怒ってるのか?と思うと、真夢は真っ赤な顔のまま「弾くん……これ、しまっといて……」とパンツを渡して俯いた。
「やーい、ラブラブー♡」
「うっさい!!クソ兄貴!!!」
「あーあ!!ひでえんだ!!!彼氏ができた途端これかよ!!?美貌の兄に何てこと言うんだ、なあ?弾くん?」
二人の仲のいい兄妹喧嘩を見て笑顔になりながら、俺は真夢から受け取った(元)ぐしょぐしょパンツをタンスにしまう。
「おお、もうパンツの場所まで分かってるんだ。結婚しろ」
「えっ!?すみません!!?」
「うるさいバカお兄!!!……でも、」
幸夢さんの揶揄いに俺も真夢も面白いほど引っかかるが、そんな中。
「ありがとね……お兄」
「え?」
真夢は幸夢さんの顔を真っ直ぐ見つめてそう言う。幸夢さんはその言葉に少し驚いたような顔をしてから、いつものイケメンスマイルを浮かべた。
「言ったろ?俺はお前の味方だって」
「……うん」
そう言って嬉しそうに笑う二人に、俺も思わず顔がほころぶ。そして……
(ああ、俺たちは本当に幸せ者だな)
そんな二人を見て俺は改めてそう思ったのだった。

—-*—-*—-*—-*

 それからしばらくして、俺が帰る時間になった。
ご両親と幸夢さんに挨拶をして、真夢にも「またな。早く元気になれよ。連絡するから」と言うと、真夢は真っ赤な顔で「……うん!!」とだけ答えた。そんな真夢をニヤニヤしながら見てる幸夢さんを見て、俺はこの人には一生敵わないと思うのだった。
帰り際、玄関で靴を履いている俺にご両親が声をかけてくる。
「本当にごめんなさいね弾くん。うちの娘のせいで色々と迷惑かけちゃって」
「いえとんでもないです!……でもあの、俺なんかがその……彼氏で大丈夫でしょうか?」
俺の言葉に二人は顔を見合わせる。
「何言ってんの、弾くん以上の男の人は真夢にはいないわ」
「そうだよ。早く嫁に貰ってやってくれ」
「よ!!?」
「もう!!お父さんもお母さんもやめてよ!!」
そんな真夢の抗議に二人は笑う。そして……
「弾くん、真夢をよろしく頼むね」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!!」
俺はそう言って二人に頭を下げたのだった。

 帰り際、幸夢さんが俺を送ってくれるというので二人で並んで歩いていると、幸夢さんが俺に言った。
「……なあ、弾くん?」
「なんですか?幸夢さん」
俺が聞き返すと、少し迷ったような素振りを見せてから、意を決したように幸夢さんは続ける。
「……真夢を幸せにしてやってくれな?」
「え!?……あ、はい!!勿論です!!俺の出来る限りを尽くすつもりです」
俺が答えると幸夢さんはホッとしたように笑った。そして言葉を続けた。
「……俺さ、弾くんが真夢を選んでくれて、本当に嬉しいよ」
「そんな……」
「うん……」
そう言ってから幸夢さんはまた少し考えるようにして言う。
「俺は、こんなだろ。真夢の気持ちも、それにごめん、感情としては弾くんの気持ちも俺には分からないから」
恋愛感情を持ち合わせない幸夢さんは、そう言って寂しそうに笑う。
「でも、真夢の幸せが俺の幸せだ。だから俺は真夢に幸せになってほしいし、弾くんにもそうなってほしい」
幸夢さんの言葉に俺も頷く。
「はい!……俺なんかで本当にいいのかって思いますけど……」
俺がそう言うと幸夢さんはまた少し笑って言う。
「はは、謙遜するなよな。だってさ、真夢を幸せに出来るのはきっと君しかいないよ。俺には恋愛感情は分からないけど、真夢が弾くんだけを心から大好きなのは俺でもわかる」
そんな言葉をくれる幸夢さんに、俺は泣きそうになりながら答える。
「ありがとうございます」
俺がそう言うと幸夢さんは笑って……そして言う。
「……本当にありがとうな弾くん。これからも真夢をよろしく頼むよ」
そんな幸夢さんに俺も笑って返す。
「はい!!」
そんな俺に幸夢さんはホッとしたように笑ったのだった。
「あ、あとね。そのスウェットは返さなくていいよ」
「え?」
何でだろう、俺なんかが着た服はもう着られないんだろうかと思っていると、幸夢さんはまたハイパーイケメンならではの超能力的洞察力で笑って答える。
「多分弾くんの思ってるのは違うから。あのさ、真夢、それの黒のスウェット着てたでしょ?」
「あ、はい、着てましたね」
電話口でもしてた話だから、あのスウェットが真夢のお気に入りだということは知っている。
「あれな、真夢にあげたの、俺なんだ。つーか、あれ、本当は俺のなの。弾くんが着てたのと併せて三色くらい一気に買ったんだけどさ」
「そうなんすか」
幸夢さんとお揃いでスウェットを着たがるなんて、ちょっといや実は結構妬けるくらい仲がいいなあと思っていると。
「そんでね。これ、弾くんが家で着てるっぽいよな、特に黒、って言ったら真夢、秒で俺から奪っていっちゃってさ」
「え!?」
「すごく気に入っててさ、俺がそれ着てるとちょっと拗ねるくらいだったんだ。弾くんとのペアルック気分を壊すな!とか言って。俺のなんだよ??」
幸夢さんはそう言って楽しそうに笑う。そして続ける。
「だからさ、そいつを弾くんが持ったまんま、本当にペアルックにしてやってよ」
そんな幸夢さんの言葉に俺は顔が熱くなる。
(そんな……めちゃくちゃ可愛いじゃねえか!!そんで幸夢さんは良い人過ぎる……)
「実際どうなの?弾くんの部屋着って」
「真冬以外はTシャツかタンクトップに半ズボンとかですけど」
「あーーそっか、残念真夢!」
「いや、寒い時はマジでこんな感じです。合ってます。嬉しいっす」
「やだーーーー弾くん可愛い!好き!!!」
あははは真夢に怒られる!とか言いながら笑う幸夢さんに俺も自然と笑顔になる。つーか真夢にめっちゃ似てんな。大抵の人なら男女構わずこんなこと言われたら心がグラリとしちまいそうな綺麗さだ。
「あの、色々ありがとうございます」
俺がそう言うと幸夢さんは笑って言う。
「いーえ!俺こそありがとうだよ。真夢と仲良くしてくれてさ。これからもよろしくな!」
 そんなやりとりをしながら、俺たちは帰り着いたのだった。

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「おはようございます!」
特別休暇と土日を挟んで動けるようになった真夢が、月曜の朝事務所に出勤して元気な姿を見せる。
「真夢!もう動いて大丈夫なのか??」
俺が慌てて駆け寄ると、真夢は朗らかに笑って答える。
「うん!土日もたくさん寝てたし、今は大丈夫だよ!!」
俺はホッとして言葉を漏らす。
「そっか……良かったよ……」
そんな俺に真夢が言う。
「……心配してくれてありがとね。昨日も来てくれてありがと」
そう言ってニッコリと笑う真夢の笑顔は本当に愛らしく綺麗で……
(可愛いなあ)
そんなことを考えていると、後ろから声がかかる。
「お熱いねえお二人さん!」
「ヒューヒューだよ」
「あはは!ミカちゃん古い〜!真夢ちゃん、怪我は本当に大丈夫なの?」
源三、ミカ、カンナのいつもの三人組だ。
「うん、大丈夫!!心配かけちゃってごめんね」
そんな真夢に源三が言う。
「まあ、お前が無事ならいいさ」
「まだ休んでもいいのに。無理したら許さないよ!?それこそクビだよ!?」
社長令嬢のカンナからもそう脅かされて、真夢は目を白黒させて答える。
「ええ!?まだ来るな……クビって、私じゃま!?」
「違うよ!!無理すんなっつってんの!!」
「そっか……えへへ、まだ腰コルセット巻いてて無理できないから大丈夫、ごめんね」
ミカから突っ込まれて真夢は笑って答える。
「弾はどう?役にたった?」
「コイツったらよ、月曜の朝から締まりのない顔して現場に現れたかと思ったら、真夢が心配だから事務所行くってずらかろうとしてよ。まあおいら達も気になるから来てみたって訳だ」
「おい!!!余計なこと言うんじゃねえよ!!!」
俺が叫ぶと真夢が真っ赤になって言う。
「え……そうなの?嬉しいけど……」
その反応に俺があたふたしているとミカが言う。
「お熱いねえ」
そんなやりとりを見て、カンナも源三も笑って言う。
「見てるこっちが恥ずかしくなるくらい♡」
「全くだ」
そんな三人に俺は慌てて言った。
「いや、あのな!!これはだな!!」
そんな俺に真夢は真っ赤な顔で嬉しそうに笑う。そして……
「そうだよ!お前らのありがたーーーい計らいのお陰で、真夢と付き合うことになったぜ!!」
そう、俺は声高らかにそう宣言した。
「きゃあああああああ!!!」
ミカが顔を真っ赤にして叫ぶ。源三とカンナも「おおおおおおお」と言いながら拍手している。真夢は真っ赤になっているけど、それ以上に嬉しそうに笑ってくれた。そんな俺たちを見て、社長が言った。
「……おめでとう弾くん!真夢ちゃん!!」
「ええ!?社長まで!!?」
「そうだよ、二人が両想いなのは二人以外みーーんな知ってたんだから!」
そう言って笑う社長に俺も真夢も頭を下げるのだった。

—-*—-*—-*—-*

 そんなこんながありながら、俺たちは今日も仕事を始める。
大きなハプニングが起こって、まだ痛みが残る真夢は本当に心配だし気の毒だが、それを機に俺たちに新しい関係ができた。
真夢の幸せが、俺の幸せなように、二人の幸せのために頑張ろうと思うのだった……
「ねえ弾くん」
「ん?どうした?」
「私ね、今本当に幸せなんだ。だから……」
そう言って笑う真夢は、やっぱり誰よりも可愛くて……そして何より綺麗だった。
「コルセット外れたら……泊まりに行っていい?」
「ええ!?あ、はい……」
俺がそう答えて真っ赤になるのを見て真夢が笑う。
(くそーー!!やっぱりめちゃくちゃ可愛いじゃねえかよーーー!!!)
そんな俺たちを見てミカが言う。
「ヒューヒューだよ!弾の癖に生意気!!真夢はおめでとう!!」
源三も言う。
「お熱いねえ……弾、良かったな!真夢もな!」
カンナも言う。
「今までを超えて行くラブラブっぷりだね。でも、羨ましいな……おめでとう!!」
 そんな三人に、俺と真夢は顔を見合わせて笑うのだった。

—完—