最近、弾くんの様子がおかしい。
外でデートしてる時は変わらず手を繋いだり腕を組んだり、人目のつかないとこでちょっとちゅってしたりはするし、付き合って半年、半同棲状態だけど仲自体はすごく良いと思う。
でも、家に帰るとどうもおかしい。
私と何か距離を取りたがってる……というか……
明らかにスキンシップが減ってる気がする、というか、そう感じる。
「……ねぇ、弾くん」
「ん?」
今日も一緒にご飯を食べてソファに座ってテレビを見てたけど、やっぱりなんかいつもより距離があるような感じがする。
隣に座ったら少し距離を開けられたような気さえした。
「お風呂入ろうよ」
「ああ……うん、そうだな……でも……」
ほらまた目を逸らす。しかも顔まで背けちゃうから、悲しいし、なんとなくムカついた気さえする。
「……ねえ、さっきから何?目合わせてくれないじゃん」
「えっ!?いや別にそんなことは……」
「あるよね?今も全然目合わせてくれないし……お風呂も一緒に入るのやなんだよね」
今まで、ずっと弾くんと一緒にお風呂に入ってきたけど、様子がおかしくなってから別に入りたがったり、一緒に入ってもさっさと出ていってしまう。
「私のこと、嫌いになったの?」
単刀直入に聞いてみる。こんな風に聞くなんて女らしくないかもしれないけど、今はそんなことを気にしている余裕はない。
「ち、違う!そういうんじゃなくて!」
弾くんが慌てて否定してくれたことにホッとした反面、じゃあどうしてだろうって疑問は拭えない。
「じゃあどういうことなの?あれだけしてたキスも、……セックスもしなくなったよね」
流行りのドラマがそんな題材を取り扱ってる。そんでお互い浮気しちゃうの。私はそんなことあり得ないけど、もしかして弾くんは……
そのドラマが始まった時は「うちにはありえないね」なんて言って笑い合ってたのに。
「それは……あの……」
弾くんは嘘が下手だから、何かを隠してて言い淀んでる。もうこれは決定的だと思った。
「……他に好きな人が出来たならちゃんと言って欲しいんだけど」
「えっ!?」
弾くんの顔が青ざめていく。そして見る見る涙目になっていく。
そんな表情されると、こっちが悪いみたいな気持ちになるじゃない。
「俺が好きなのは真夢だけだ!!」
弾くんが大声で叫ぶように言うからびっくりした。近所迷惑なレベルの大声……
「だったらなんで最近冷たいの?家の中じゃ手だって繋いでくれないし、抱き合ったり、それに、セッ……クスだって……」
自分で言おうとして恥ずかしくなってきたけど、ここで言わないとダメだと思う。
「ごめん……」
「謝らないでよ、余計傷つく」
「ごめん……」
また謝られる。でもそれじゃあ何も変わらないよね。
「じゃあ、違うなら今してよ」
「えっ」
私が弾くんの肩に触れると、弾くんの体が強張るのがわかった。
「ま、真夢、ちょっと待っ……」
「待てないよ」
キュッと抱きつくと、弾くんが私を抱きしめ返しかけて……やっぱり手を離していく。
何でなの。
それでも尚私が抱きつこうとすると
「だから、待てって!!」
弾くんが大きな声を出した。
さっきよりは小さいけど、私に対してこんな大きい声、初めて聞いたかも。ビックリして思わず動きを止めてしまう。
弾くんはハッとして
「いや真夢、違くて……」
慌てて取り繕っているけど、こんな明らかな拒絶は初めてでショックが大きい。
「そっか……ごめん」
私は弾くんの身体から離れる。
「違うんだ、真夢、本当に……」
「いいよ、大丈夫、わかってるから」
本当は全然分かってなかったけど、これ以上ここにいたら泣き出しそうだったから、逃げるように部屋を出た。
「おい、待てよ!」
後ろから追いかけてくる声に冷静なフリをして答える。
「一緒にお風呂入ろうとかシよう、どころじゃなくて私今生理中だったんだった。先にお風呂に入る、ごめんね」
そう言ってお風呂に入るフリをして……
私はそっと家から出ていった。
*.。+o●︎*.。+o○︎*.。+o●︎*.。+o○︎*.。+o●︎*.。
ぼーっと公園のブランコに座っている。もう夜だから勿論子どもたちの姿なんてなくて、いるのは私1人。
弾くんの家を出てからずっと歩いてきて、気がついたらこの公園にいた。
スマホも一応持っては来たけど、見ていない。見たら泣いちゃう気がするから。
ただただボーッとしている、無駄な時間が過ぎていく。
どうしよう。どこに帰ろう、私。
実家に行く?でもそれじゃ家族に余計な心配をかけてしまう。
「う……」
涙が出てくる。無理やり迫った私も悪かった。そんな気になれない時だって、そりゃあるだろう。
でも……ここのところ、ずっとだもん。本当に私とはもうそういうことはしたくなくなったんだろうか。
付き合って半年。それでも付き合う前からずっと好きだった。それは弾くんも一緒だって言ってくれてた。
両想いってわかって、すぐに付き合いだして、すぐにキスもセックスもした。それまで未経験の私達だったけど、お互いずっとそうしたかったって、やっと繋がれたことが嬉しくて、幸せで、いっぱいエッチなこともして、色々勉強もして……
初めてのセックスは、痛いとか血が出るって聞いてたけど、実際はそんなことなくて、むしろ気持ちよくて、もっと早くこうなれれば良かったって思ったくらいだった。
でも、それは弾くんだったからだと思う。弾くんに触られればどこだって気持ち良くて、触れられると嬉しいし、もっともっとして欲しくなる。
勿論、キスやセックスしなくなっても弾くんが好きだし、大好きだし、これからもずっと弾くんと一緒に居たいと思う。
なのに……
「うう……」
涙が止まらない。
しなくても、勿論大好きだけど、全く無くなるのは悲しいな。しかもこんなに早く。まだ21歳なのに。付き合って半年なのに。
「こんな日が来るなんて思わなかったな……」
今はまだ、ベタにずっとラブラブなんだと思ってた。でも、そのうち家族になっていけばそうでもなくなるってことはなんとなく分かってたつもりだった。そもそもまだ結婚してるわけじゃないし。
「私としたくなくなったんじゃなくて、ホントに他に好きな人が出来てたりしたらどうしよう〜……」
顔を覆ってブランコに縮こまる。大人の女が1人夜の公園で泣いてるなんて軽いホラーだよ。部屋着で出てきちゃったしさ。
痛々しい自分に更に泣けてくる。
「もうやだよ〜……帰りたいよ〜……!でも、どこに……」
泣き止もうとするとますます泣けてきてしまう。どうにもならなくなって動けないでいると、ふいに後ろから肩をがしっと掴まれる。
「!!?」
何?誰!?
女の人……の手じゃない。薄っぺらいTシャツの肩にゴツい手が力強く沈み込んでいく。
怖い……!
なんかハーハーいう息遣いも聞こえてくる。私の格好はさっきも言った通り薄っぺらいTシャツにショートパンツっていうそこそこ露出度の高い格好。つまりちょっとは危険……なのかもしれない。
恐ろしくなって振り向かずに固まっていると、ゴツい手にもう一方の腕を握られる。
「ヒッ!?」
ああそう。
私は好きな人に抱かれるどころか、これから多分見知りもしない人に乱暴されるわけね。
嫌がる弾くんに無理やり迫ったバチがあたったのかな、だからってこんなのあんまりだよ……!こんな泣いてぐちゃぐちゃになったおブスに悪戯したって面白くなんてないよ……!?
だから助けて、助けてよ弾くん……!!
「真夢!!」
「えっ」
聞き覚えのある声に思わず振り返る。そこには……
「え、弾くん?」
なんでここに居るの?
「ハァ……ハァ……探したぞ……」
弾くんの顔は汗まみれで、髪はボサボサで、急いで走り回っていたことが見てとれる。
「お前、風呂入るなんて大嘘こきやがって……スマホも何度連絡しても出ねーし、探したぞ」
「なんで……」
「なんでもなにもあるか!!」
弾くんはさっきより更に大きな声を出して、私はビクッとする。
「こんな薄着で素肌露出した格好で、夜の公園なんかに来やがって。俺以外の男に襲われたらどうすんだ!」
弾くんの剣幕に押されるけど、その言葉が突き刺さる。
「弾くんだって襲いたくない身体に、誰も興味なんかあるわけないでしょ……」
ぼそっと私が言うと
「お前、それ本気で言ってんのか」
弾くんは険しい表情をして、私はそれにまたカチンときてしまう。
「本気だよ。何で弾くんが怒るの?こんな泣きじゃくったすっぴんおブスに誰が興味あるっていうの!!」
吐き捨てるように語調を荒げるけど、胸だけは大きくなっちゃったけどさ、と小声で付け足す。
「ここにいる」
「は?」
「だから、俺は今ここでお前に興味津々なんだよ」
「何言ってんの弾くん」
わけがわからない。
何とも言えない表情の私に弾くんは
「俺はお前を愛してる」
突然愛の告白をしてくる。
「なに、急に……」
いよいよわけがわからなくて茫然とする私をブランコから立たせて
「俺が悪かった。こんなことをさせたのも、思わせたのも、全部俺のせいだ。全部話すよ」
そう言って、私を連れて歩き出す。
*.。+o●*.。+o○*.。+o●*.。+o○*.。+o●*.。
弾くんに手を引かれ、しぶしぶ出てきた家へ逆戻りする。
バタン、と玄関のドアが閉まるとほぼ同時に、弾くんが私の腕を引っ張って後ろからギュッと抱きしめる。
「わっ!?」
ぎゅう、ときつく抱きしめられて、久しぶりの感覚にドキドキしてしまう……けど、こんなことで絆されてはいけない。気づくと、たまたま?弾くんの右手が私の胸に触れる形でバックハグされている。
もに……と形を変える胸が、少し揉まれている気がしてならない。
「……ちょっと?」
「あ、ワリ……」
謝りながらも手は離さない。
何なのよ、触りたくないんじゃなかったの!?
そんな事を考えていると、密着しているお尻の部分に硬いものが当たる感触がある。
……これ……
「……弾くん……?」
声をかけても弾くんは黙っている。
何なのこれ、どんな状況??わけがわからなくてどうにも出来ないでいると、弾くんが呟く。
「ほらな、言わんこっちゃねえ」
「え?」
「ちょっと、ほんのちょっとお前を後ろから抱きしめただけでコレなんだ俺は」
そう言いながら弾くんは胸に置かれた手に力を入れる。
ぐにゅん、と更に形が変わっていく。
「ちょっ……!?」
「お前はこんな格好で夜に1人でほっつき歩いて、男に見つかったらどうするつもりなんだ。お前は自分がどれだけ魅力的かわかってない」
「そんなこと……」
「いいや、わかっていない」
何なの!?この問答。褒められてるの?怒られてるの??
「私は弾くんにそう思われなければ意味なんてないの!!」
振り解こうと身を捩ると、密着していた硬い部分がぐりっと動く。
「ぐあぁっっっ!?」
弾くんがビクン!と震える。と同時に掴んでいた私の胸も強くギュッ!と握られる。
「きゃあん!!」
「あっ、あっ……、やべ……あぁっっ……!」
小刻みに震えながら眉根を寄せて、私の肩に顎を置いて切なそうに息を漏らす弾くん。
お尻に当たっている硬いものがびくん、びくんと脈打つのがわかる。
「ま、真夢、てめーーー〜……」
弾くんは涙目で私をジロリと睨みガクンガクン!と身体を震わせると、そのまま私を抱きしめて崩れ落ちる。
「弾くん……もしかして……」
「……言うんじゃねええ!!!」
半泣きで叫ぶ弾くんを見て、確信する。
「……イッちゃったの……?」
「うるせーーー!!お前が変なとこばっか押すからだろーが!!」
「えぇーーーーーー!!?」
私何もしてないんだけど!?ていうか一体どういうことなの!!?
ポカンとしている私に弾くんは涙目のまま続ける。
「全部話すっつったろ。……ちょっと待ってろ。先にリビング行っててくれ」
「え、え、待って、ごめん、私何が何だか……」
「何がってお前……パンツ履き替えてくんだよ!!」
弾くんは真っ赤になって叫んで、洗面所に消えていった。
*.。+o●︎*.。+o○︎*.。+o●︎*.。+o○︎*.。+o●︎*.。
言われた通り先にリビングに行くと、食後そのままだった食器が全部片付けられて綺麗になっている。
「……片付けてくれたんだ」
そう呟くと、
「風呂に入るって言ってたからな。風呂の扉開け閉めしてから家出てったろ。変な小細工しやがって」
待たせたな、とまだ顔の赤いまま弾くんが正面に座る。
「本当はすぐ追いかけたかったけど、1人になりたかったのかなと思って。風呂の間くらいまあ良いかと思ったら、なかなか出てこないんで見に行ったらコレじゃねえか。ったく、明るいとこで見るとますますとんでもねえ格好で出ていったなお前!」
「だって……」
「だって、じゃねえ!!乱暴されてからじゃ遅いんだぞ!!?」
「……はい」
何なのよ。イマイチ納得は出来ないけど、心配してくれてるのは本当だということが分かるのでとりあえず謝ってみる。
「それで、さっきの話だけどな」
弾くんは話しづらそうに切り出す。
「俺、こないだ同級生と飲みに行ったろ」
「……? うん」
先週くらいに、久しぶりの同級生と会うと言って出ていったのを思い出す。女子もいるかもしれないけど、心配は皆無だと言っていたし、正直に話して出ていったのであまり心配はしていなかった。
「そん時、お前とのこと話したんだよ。そしたら、アイツら……」
「……??」
弾くんはその時の様子を少しずつ話し出す。
◇◇◇◇◇◇
「おー!弾!変わんねえなお前!」
「よう、久しぶりだな!」
「相変わらず厨二臭えなお前……」
「うるせえよ」
こんな感じで楽しくその会は始まったらしい。他愛のない話から、お酒が進むにつれて徐々にディープな恋愛話などになっていった。
「弾、お前は彼女出来たのか」
「おう、いるぜ」
弾くんの答えに辺りがどよめく。
「マジで!?!」
「え!?八波くん、彼女出来たの!?」
「嘘だろ、夢でも見てるんじゃねえの!?」
「ふざけんなよ!!夢じゃねえわ!!半年付き合ってんだ、ほぼ同棲してるな」
皆んながよってたかって冷やかす中、1人が弾くんに尋ねる。
「どんな子だよ、写真見せてみろよ」
ニヤニヤしながら聞かれて、弾くんはスマホの写真フォルダを開いてみせる。
「ほら」
「おお……っっ」
「これは……すげえな」
「可愛いじゃん……やべえな」
そこには、笑顔でピースサインをする私がいた。
「うぉーー!芸能人並じゃねえか!!」
「だろ?!俺には勿体ないくらいの超絶美人なんだぜ!!」
そう言いながらどんどん目尻を下げていく弾くんに、周りの同級生たちはドン引きしている。
「おい、デレすぎだろ」
「やばいな、これ。もうベタ惚れだな」
「お前、こんな顔すんのな……」
「うるせえ!ほっとけ!」
「なあ弾、この子、前から仕事場一緒だった子か?髪の長い……なんだっけ、カマ?持った?可愛い子」
そう聞かれて弾くんはすぐに否定する。
「ああ、違う違う。それ、ミカだろ?カマじゃなくてチェーンソーミカな」
「そうそう!え、その子じゃねえの??その子も可愛かったよな??」
「違えよ!まあ……ミカをそんな風に見た事ねえからわかんねえけど、ミカも傍目から見たら可愛い……のか?」
首を傾げる弾くんに、周りの男子達が僻みの視線を送る。
「お前、贅沢すぎるだろ!!」
「そうだぞ!!こんな良い女2人も側にいて!!」
「何だそれ!?知らねえよ!女は他にも職場や敵対組織に何人かいるが、良い女は俺にとって真夢ただ1人だ!」
そう言い放った弾くん(解説役でも恥ずかしくなってきてる私)に
「まくらちゃん、ていうのか……クソ、名前まで可愛い……」
「しかも見ろよ、これ……」
「なあ」
周りの男子達がまたざわざわ騒ぎだす。その様子を「?」と思いながらビールを飲んでいた弾くんだったが、
「そのミカ?て子も、確かかなり胸デカかったよな」
そう言われてビールを吐き出す。
「うわっ!!!汚ねえ!!!?」
「何すんだ、弾!!」
周りにワイワイどやされ、弾くんは涙目で返す。
「ゴホッ、ゲホ、ちょ、待て、今なんて言った」
「いや、だからさ、その、ミカって子も結構いい身体してたよな?って」
「それで何だ。も、ってことはお前……」
わなわなと震えながら聞く弾くんに彼らはおずおずと聞く。
「認めたくはないが、お前の恋人だというこのまくらちゃん、かなり、その、巨乳だろ」
「こんなに細いのにむ、胸だけ……!ミカって子以上のスタイルじゃねえかこれは……!?」
「……」
どこ見てんだこの野郎ども!!!!
そうくってかかってやりたい気持ちを抑え、
「…………そうだな」
とだけ答える弾くん。
「やっぱりな……」
「ちくしょう!!なんでお前ばっかり!!お前なんかなぁ、お前なんかなぁ〜〜」
「俺たちの敵だ!!爆ぜろ!!消えろ!!滅べ!!何カップだ!?」
どさくさに紛れてとんでもない事を聞かれて、普段ならブチギレるだろう弾くんはその場の雰囲気やアルコールも手伝って、デレデレの顔で
「……もうすぐGだ。俺が育てた♡」
と自慢げに答えてしまう。
「死ね!!!」
「お前、マジで許さん!!」
「八波くんサイテー」
男子勢は盛り上がり、女子達は若干引きつつも、弾くんの幸せそうな様子を微笑ましく見てくれている。
「ていうか、お前、同棲してるっつったか」
「おう。去年からほぼ一緒に暮らしてる」
「マジかよ……」
「ヤバいな、それは……」
「……羨ましい……てことは、あれか、その、(小声)ヤリまくり、ってことか」
「言わねえよそんなこと」
「お前!!その顔、YESでしかないからな!??クソッ、こないだまでクソ童貞だったくせして!!」
「うるせえ!!!」
下ネタも飛び出し始め(やめて!!!)普段の猫目をデレデレに下げている弾くんに、神妙な面持ちをして1人が話し出す。
「でもよ、あんまヤッてばっかだと、お前捨てられんぞ」
「あ?」
その言葉に弾くんはピクッと反応する。
「初めはいいかもしんねえよ?でもずっとそんなんじゃ……なあ?」
「まあ確かに。身体目当てなの?とか思われるかもな」
彼らの話にデレデレしていた弾くんの表情が徐々に曇っていく。そして……
「……るわけねえだろ」
「あ?何だって?」
聞き返されて弾くんは立ち上がる。
「んな訳あるかっつったんだよ!!俺はなあ、真夢の事が好きで好きで堪んねえの!!そりゃあ最初は、毎日のように抱いちまったけど、そん時から、いやその前からずーっと、俺には真夢しか見えてねえよ!!真夢だってそのはずだ!!」
「お、おい!落ち着けよ!!」
「落ち着いてられっかよ!お前ら、あの時の事知ってるか?!真夢がどんな顔したか……!!」
「わーー!!やめろやめろ!!女子達の顔見ろよバカ!!」
女子達は言われた通りドン引きしていたが、どちらかというと弾くんを焚き付けた彼らの方への非難の方が大きく、一途な弾くんには微笑ましい目を向けられていたらしい(やめて!!!!!)。
「だからな、弾。そうならないためにも、たまには焦らすんだ」
やっとのことで弾くんを落ち着けて、彼らは言う。
「焦らす?そんなもん、どうやってやんだ」
「まあ聞けよ。まずな、お前達は基本、家にいるんだろ?」
「まあな。同じ職場だし、ほとんどいるぞ。平日はほぼ朝と夜だけだけどな」
「じゃあ、お前はいつものパターンで、彼女を抱いて寝るだろ?」
「まあ、大体そうだな」
(この……!!)
(クソ……!!!)
心の声をグッと我慢して彼らは続ける。
「それをな、我慢して手を出さずに寝るんだよ」
「そりゃ無理な話だ」
即答する弾くんに皆んなは絶句する。
「あいつが無理な時は我慢出来るけど、そうでない時に手出さないでいるなんて無理だ」
「お前クソ童貞かよ!!?」
「そりゃ無理だよな!!こんだけ可愛くてGカップだもんな!?死ね!!」
「ああ!?!?」
「やめろやめろ!!女子達の顔見ろって!!」
また騒ぎ出しそうになったその時、1人の男子が言った。
「だから、それをな、ぐっっと堪えて何もしないんだ。数日間。そのあとはお前、燃えるぞ〜♡」
「………」
言われた弾くんは黙って考えている。
「……でも、俺、あいつに触れるだけで……その……」
周りはまたザワつく。
「わかってるよ、弾。だからさ、そこも我慢すんだって!」
「……」
「お前、いつも彼女のどこ触ってんだ?髪?顔?身体?首筋?背中?胸?尻?太腿?足?どこだ?」
「……全部……かな?」
(殺す!!!!!)
男子達は殺気を必死に抑えて続ける。
「わかった。近くにいると触っちまう、触ったら勃っちまう、そういうことだな?」
「……おう……」
(コイツ………!!)
「だったらさ、お前、彼女に近づかないようにすればいいんじゃないのか?」
「え?」
「同棲だと難しいかもだけど、出来るだけ距離とってみろ。物理的に。彼女もどうしたんだろう、って思うよな?それでも焦らして、焦らして、その暁にはお前、、」
「「「すごいぞ〜♡♡」」」
周りの男子達が盛大にニヤついて声を揃えた。
「ちょっとあんた達、八波くんを誑かすのやめなさいよ〜」
「そうだよ、幸せそうな人の邪魔すんじゃない!」
味方してくれる女の子達の声は弾くんの耳には届かなかったようだ(何でよ!!?)。
「……」
弾くんはしばらく考えてから、口を開く。
「……やってみる」
「よし。じゃあ今日は飲もうぜ!!」
「お前の奢りな!!」
「あ!?なんでそうなる!?!?」
「ねえ、私にも見せてよ彼女!」
「私も見たい〜」
「おういいぜ!見てくれ見てくれ!」
「あ〜〜ホントだ!これは可愛いわ」
「ホントだ、おっぱいもおっきー、いいな〜」
そうだろ!と機嫌良く笑う弾くんを彼らは
「見ろよ……弾が女子に囲まれてやがる」(何ですって!?)
「ああ……でも何の他意もねえから出来んだよなあれは、女子達もな」(んん〜、、ならヨシ!?)
「あのクソ童貞の弾が……畜生……!!」
そんな事を言われているとも知らずに弾くんは上機嫌だった。
それから数時間後、弾くんは帰宅し、私にただいまを言う。
「真夢、帰ったぞ〜♡」
「おかえりー」
「はいこれ。お土産」
「あ、ありがとう!わープリンだ!楽しかった?飲み会」
「おう!あ〜モテモテだったな〜♡」
「何ですって!?」
「お前の事自慢しまくってきたからな♡」
そう言って満面の笑みで私にちゅっと軽くキスをする。
「……本当かなあ」
「あんなに女子と喋ったの初めてかもな」
「なにぃ〜〜〜っっ!!?」
「皆んなお前のこと可愛いってよ。女子からも大人気だったぜ。いないとこでも人籠絡すんのやめろ」
「何それ!?きゃ!?」
そのまま抱き抱えられ、寝室につれていかれて……
「ちょっと!弾くん、お酒臭い〜!!」
「あ、いけね、我慢しないとだったんだ……まあいいか、明日からで」
「あ!?ちょっ、んん、やっ……!あんっ」
◇◇◇◇◇◇
「……という訳なんだ……」
弾くんはこれでもかというほどしょんぼりと項垂れながら、私にことの経緯を話してくれた。
「……だ……」
「……だ?」
私の反応を伺うように恐る恐る顔を上げた弾くんに向かって私は言う。
弾くんのおばかさああああんッッッ!!!
今までの喧嘩?の中でも1番大きな声が出たと思う。多分。
弾くんは悪いことが見つかった子どもみたいにびくっ!とした後しゅんとして、「ごめんな真夢……」なんて言ってくる。思わずキュンとしちゃうけど、ここは心を鬼にして言わないと!!
「そんなことして何になるのよ!?」
「いや、だってよ……」
大きな猫目がうるうるしてて、ホントに悪いと思ってるんだなあってわかる……もう、本当にずるいんだから!!
「そんなに焦らして熱い夜を過ごさなきゃいけないくらい、いつもはつまんないのかしら」
私がそういうと弾くんは更にしゅんとする。
「そんなことねえよ……俺が気になったのは、抱きすぎると真夢に嫌われるって方だ」
もう、この人は……!!何なの?私をキュン死にさせる気なの??
「もういい、私お風呂入ってくる!!」
「あ、じゃあ俺も……!」
「今日は1人で入ります!生理だって言ったでしょ!」
でも……と言いたげな弾くんを残して私はお風呂場に向かった。
「ふう……」
全く。何なのよ。すっっごく心配したし、すっっごく落ち込んでたのに。
でも……嫌われたんじゃなくて良かった。
『真夢〜〜』
脱衣所から弾くんが声をかけてくる。
「何?」
『あのさ、』
「うん?」
『……愛してるぞ!』
「……」
恥ずかしくて何も返せなかった。
「……弾くんのばか」
湯船に浸かりながら、ぽつり呟いた。
「……私も、だよ」
弾くんに聞こえたかはわからない。けど、
『だからさ……俺も入っていい?』
そう聞いてくる。
「いいよ」
『え!!ホントか!?』
「私もう上がるから」
『真夢〜〜〜!!』
弾くんの悲痛な叫びを聞き流しながらタオルで身体を巻き(いつもは全裸)、私は「お待たせ」とドアの向こうの弾くんとすれ違う。弾くんはガックリと肩を落としながら浴室へと向かっていった。
リビングでお風呂上がり後の作業をしていると、弾くんがお風呂から上がってきた。
「……お風呂洗ってきてくれた?」
「……おう、洗った」
「そう、ありがと」
さっきと同じで私がソファに座り、弾くんはローテーブルを挟んで対面に座っている。
「何か飲む?」
そう聞くと、弾くんは
「それがいい」
と、私の飲みかけのミネラルウォーターを指差す。
「え、これ?飲みかけだよ、新しいの持ってくるよ」
「これがいいんだって」
そう言い張る弾くんにペットボトルを渡すと、彼は勢いよくそれを飲み干し、空になった容器をローテーブルに置く。
「真夢」
「ん?」
そして、私を見る。
「ごめんな」
「……」
弾くんが私をじっと見て、少し微笑んで、また謝る。
「ねえ弾くん」
「ん?」
私も弾くんを見て、笑う。
「弾くんさ。多分、揶揄われたんだよ」
「え!?」
弾くんが驚いた顔をする。
「揶揄う!?」
「うん」
「何でだ!?」
「うーーん、わかんないけど、さっきの話だと弾くん、余程デレデレして私の話してくれたんでしょう?」
弾くんは顔を赤らめて「……おう」と小さく返事をする。
「皆んなには、弾くんに恋愛のイメージがそんなに無かったのかな、それで皆んな面白おかしく脚色しちゃったんじゃないかなあ」
「なっっ……!!」
「皆んな酔ってたし、多分そうだよ」
「そ、そうなのか!?」
「それにね、多分ホントに実行すると思ってる人いなかったと思うよ」
弾くんは愕然として、それからはぁ〜〜っと息を吐き、そのまま頭を抱えて俯いてしまった。
「……じゃあ……俺、何やってたんだ……?」
「あはは、本当にね」
「真夢〜〜!!」
弾くんはガバッと顔を上げて私を見る。
「……寂しかったんだから」
「……っ、」
弾くんの目を見つめて、拗ねたように言うと、弾くんは言葉に詰まる。その隙に私は続ける。
「嫌われたのかと思った。話題のドラマみたいにセックスレス、とかなのかなって……」
「真夢……」
「不安だったんだからね」
「真夢!!」
ローテーブルを飛び越えて、弾くんが私に飛びついてきた。
「きゃ!?ちょっと!危ないよ!」
「ごめん!本当にごめんな……そんな風に思わせて、俺は馬鹿だ!」
ぎゅうううううと抱きしめられながら、久しぶりの感覚に目頭が熱くなる。
「もういいよ。お友達も別に悪気は無かったんだろうから怒んないであげてよ」
「おう……」
「……ねえ、そんなに私のこと自慢したの?」
「……ああ、それはもう」
「……そうなの?」
「心底、愛してっからな……」
私の頬を優しく撫でながら、照れ臭そうに笑ってそう言った。と同時に顔が少しずつ近づいてきて、むにゅんとした感覚が唇に伝わる。しばらくして顔を離すと
「真夢が目ぇ閉じてくれねえ……」
と嘆いている弾くん。
「久しぶりだからね。ちゃんと顔見ておこうと思ったの」
そう言うと弾くんは息を呑み、今度は齧り付くようにキスしてきた。
「……はっ、ちょ、ちょっと待って……弾く、」
「無理……可愛い事ばっか言って煽ってきやがって……!」
久しぶりの感覚にお互いビリビリと身体が痺れて、でもそれが心地良くて。弾くんは私に覆いかぶさるようにして何度も角度を変えながら口付けてくる。
「真夢……好きだ……!」
「ん……!」
そう言いながら私を強く抱き締める。
弾くんのキスは、とてもえっちで濃厚。言うと怒られるけど、長くてしつこい。
付き合いはじめのうちはただ、んちゅー!と押し付けるばっかりだったのが、どこから仕入れてきたのか角度を変えたり舌を執拗に絡めたり、あむあむと唇を堪能してくるようになった。
その時も浮気じゃないでしょうね?と疑ったら、えっちな動画から仕入れて来たんだと赤くなって教えてくれた。
そして今はもう、慣れたもので。
「はぁ……ちゅ、んぅ……」
「ん、ふっ……んん……はあっ」
お互いに貪るようなキスを交わし、呼吸が苦しくなったところでようやく口を離す。つうっと唾液が糸を引き、それをぺろっと弾くんが舐め取る。
「……真夢の味がする」
「なっ、何それ……変態っぽいよ」
「うるせー」
そう言って、もう一度軽くチュッとする。
「弾くん、ひとりえっちはしてたよね」
そう言うと弾くんは目を丸くした後、恥ずかしそうに視線を逸らす。
「バレてんのかよ……」
「こんな狭い空間での2人暮らしだからね。何となく」
「……ごめんな」
「別にいいよ、するでしょひとりえっちくらい」
「え!?」
弾くんが驚いて私を見る。浮気はダメだけど、ひとりえっちくらい何の問題もないと私は思ってる。ふたりでするのとひとりでするのはまた別物だもんね(ちなみにオカズはプロに限る。身近な子相手はダメ!絶対!!)
「どんなAVだったのかは気になるけど?」
私がそうイタズラっぽく聞くと、弾くんは恥ずかしそうにしながらも素直に答えてくれる。
「違えよ。AVじゃねえ」
「え!?じゃあ何なの?あ、漫画とか?」
「……お前」
「え?」
「だから、お前だよ」
「わ、私!?」
予想外の答えにびっくりする。
「俺のオカズはお前しかねえんだよ」
「……」
前にどうしても!とお願いされて何回かだけえっちな写真や動画を撮ったことがある。それをオカズにしてた、と弾くんは恥ずかしそうに話してくれる。
「……引いたか?」
「……ううん」
「……そっか」
「……もう、ばっ……かじゃない……そんなにしたいならすればいいのに……!」
「だから!あんましつこいと嫌われるって言われてたから……」
「嫌わない」
「!」
「全然嫌わないよ。寧ろ嬉しい。それは……お友達より、私を信じて」
弾くんの胸に顔を擦り寄せる。
「……真夢」
弾くんがぎゅっと私を抱き寄せて、そしてまた唇を重ねようと顔を近づける。またしつこくて粘着質なキスが降ってくる期待に目を閉じようとすると、弾くんがフッと軽く笑う。
「真夢。俺もお前の嘘がわかるぞ」
「え?」
「お前、生理じゃねえな」
「!!」
図星だった。
「何でわかったの……?」
そう聞くと弾くんは得意げに笑う。
「お前も言った通り、狭い家での2人暮らしだ。昨日家のゴミをまとめて捨てたのは俺。トイレのゴミも勿論見たぜ、そんなゴミなかったからな」
「今日から始まったのかもしれないでしょ?」
「さっき用意されてた下着の感じ見ても違うと思ったし、お前の周期は共有してんだろ。カレンダーの排卵印から考えてもちょっと早すぎるし、服装ももうちょっと露出度低めで冷やさないようにしてんだろ」
弾くんが私のお腹を撫でる。
普段は割と大雑把で細かいことは気にしない!といった感じなのに、こういうところは本当に鋭い。
「……もう」
「まあ、そんなわけで俺は安心した」
そう言って弾くんは私の肩を押してソファに押し倒し、今度こそしつこくてディープなキスが降ってきた。
「ん、んぅ……」
「はぁ、真夢……」
弾くんの舌が私の口内を掻き回す。その動きに応えるように、自分の舌を差し出すと、弾くんの舌と絡み合う。お互いの唾液が混ざり合って、飲み込みきれないと思っていると、体勢を変えられて弾くんが下になり2人分の唾液を飲み干す。
「えっち……」
「そうだ。だからもっとくれ」
さらに唾液を絡め取ろうと舌を伸ばしてくる弾くん。私もそれに応えて舌を伸ばすと、そのままぢゅっと吸われる。
「はぁ……真夢、好きだ」
「ん……私も、好き」
そう言いながら弾くんの手がTシャツの中に入ってくる。お腹には硬くて熱いものがゴリゴリと押し当てられていて、それだけで子宮がきゅんきゅんと疼く。
「弾くん……勃ってるの?」
「勿論だ。痛え位勃ってる」
「じゃあ挿れて」
「え!?」
私の言葉に弾くんは驚く。
「だって、まだキスしかしてねえぞ……挿れんの早すぎねえ?」
「見たら分かるよ」
そう言うと弾くんはごくりと喉を鳴らして、それから身体を起こして私のショートパンツをゆっくりと下着ごと脱がせる。
にゅち……水音と共に、秘部から大量の蜜が下着について下ろされるのを目の当たりにして、弾くんの目の色が変わる。
フーッフーッと息をして歯がカチカチと鳴っている。まるで肉食獣のように。
「や……っべぇ………!」
「弾くんのせいだよ」
そう言うと弾くんは、物凄い早さで私の服を脱がせ、自分の服も床に乱雑に投げ捨てる。あっという間に全裸にされ、弾くんもまた全裸になり、露わになるお互いの身体。私は弾くんの裸をじっと見つめる。
「えっちな身体……」
「真夢の方だろうが」
自分の身体がえっちかどうかはわからないけど、弾くんの身体は全身筋肉質で引き締まってて、期待してくれてるようなソコは血管が浮き上がって裏筋が見えちゃうくらいそそり立っていて、すごくえっち。
もう我慢できない。お互いがそう思ったみたいだった。弾くんが私に覆いかぶさってきて、また深くてしつこいキスをしながら、お互いの性器同士もちゅ、とキスをする。
「真夢……真夢……!」
「ふ、あ、あ、あ……!あああー……!!」
弾くんのモノが挿入された瞬間、目の前に火花が散った。でもそれは弾くんも同じだったみたいで、「くぅッッ……!」という呻き声と共にナカがブワッと暖かい感覚に包まれる。挿入しながらイッたんだ、と分かると愛しさが込み上げてくる。
「悪い……も……イッちまっ……」
ハーハーと荒くなった呼吸を整えつつ、弾くんが申し訳なさそうな顔で言う。
「いいよ。気持ちよかった……?」
「……うん」
いつもなら「おう」って言うのに、潤んだ瞳で「うん」なんて言われると、胸がキュンとしてまた締め付けられる。
「真夢……動いていい?」
耳元でそう言って優しくキスしてくれる。自分の奥がキュッとする感覚がわかって、その瞬間に弾くんがまた「ううっ!」と呻く。
「おま……そんな締め付けんなって……!」
弾くんの切なそうな眉間。そこにチュッとキスすると、弾くんは「もう知らねえからな」と言って腰を動かし始める。
その全てが愛しくて、母性なのか何なのかわからないけど、私の中の全ての感覚が刺激されて、今度は意図的に膣内をぎゅううっと思いっきり締めた。
「〜〜ッッ!!おい!!」
「えへ……弾くんのえっちな顔、可愛いからつい」
「この野郎……ッ!!あ、やべ、やべえってマジで……あ、あーー〜……」
ナカで弾くんがビクンビクンしてるのが分かる。同時に私のお腹もじんわりと暖かくなって満たされていく。
「今日は特に早かったねえ」
そう言って笑うと
「お前のせいだろが!!」
ちょっと悔しそうに弾くんは私を思い切り抱きしめた。
「私のお尻でも合わせて3回も出したからもういいでしょ。終わりっ!」
私が終わらせようとすると
「ダメだ」
と否定してキュッと抱きしめられる。
「まだ真夢がイッてねえ」
「私は別にいいよ、十分満たされたよ……」
「俺が嫌だ。俺だけイキまくるとかズルいだろ」
弾くんのその言葉を聞いて、思わず笑ってしまう。
「そういうとこ男らしいよね」
「うるせえ」
そう言ったと思うとおっぱいにかぷっと吸い付いてくる。
「あんんっ……!」
「真夢、好きだ。もっとしたい」
「もう……仕方ないな」
結局その後、私達は1時間近くソファの上で抱き合ったまま求め合い、何度も絶頂を迎えた。シックスナイン、正常位、後背位、松葉崩し、対面座位、騎乗位、駅弁、ありとあらゆる体位で愛し合って、思いっきり種付けプレスをされながら弾くんに話しかける。
「今更っ、だけど、思いっきり、生、だよね……っ??」
「……だから?」
「ひど……!」
「そうか?」
パンパンと激しく打ち付けられながらそう聞かれる。
「まあっ、んっ、何の問題もないと勝手に思ってるのは確かにひどいかもな、ごめん」
「……どゆ、こと……?」
ぐりっと奥をかき混ぜられながら話されると頭が働かなくてうまく理解できない。
「だって、」
私の最奥に亀頭でキスしたまま弾くんは言う。
「俺たち、夫婦だから」
「……!?」
一瞬何を言われているのか分からなかった。
「結婚するんだろ?」
そうだ。私たちは、戸籍上はまだ婚姻関係にはなっていないけれど、実質的には既に成立しているようなもの。お互いの両親も了承済みだし、友達も皆そう思ってる。そして、これからもずっと一緒にいるつもりだ。
「俺は、真夢が妊娠したら嬉しいしかないからさ。でもそれは俺だけの都合で、勝手にそう思い込んでたのは申し訳ねえ……」
「弾くん……」
弾くんは優しいなあ。本当に、どこまでも。
「真夢、結婚してくれ。籍入れよう」
「……えっちしてるときに言わないでそんな重要なこと」
「だよな、ごめん」
2人でふふっと笑い合う。
「でも、ありがとう、弾くん」
そう言って私は自分から唇を重ねる。弾くんは驚いたような顔をしていたけど、すぐに舌を差し入れてきて絡めてくれる。お互いに貪るように口づけを交わして、弾くんのモノが私の中で更に大きくなるのを感じた。そしてまた抽送が開始される。
「あ、あん、あ……!」
「でもさ、お前今、所謂安全日だよな?生理直前は確か」
「はうっ、うっ、よく、覚えてたね、正解」
妹さんがいる弾くんは、生理自体のことは普通に知っていたけど、私と付き合うようになってからは周期や安全危険日もちゃんと理解するまでになっていた。
「そりゃあな。お前のことなら何でも知っておきたい」
「ふふ、ありがと……じゃあさ、今回は結婚は見送る?」
「なんで」
「だって、もし妊娠してないなら急ぐこと……」
「真夢」
弾くんが私の顔をじっと見て言う。
「妊娠してるかしてないかだけじゃねえ。俺はお前といられれば人生それでいいんだ」
「弾くん……」
「お前と出会って、恋をして、愛を知って。お前と家族になりたいと思った。だからプロポーズしたんだ。それに、」
「それに?」
「もし仮に子どもができなかったとしても、それならそれでもいいと思ってる」
「どうして……?」
「お前と居ることが、俺の幸せだから」
弾くんは、それは優しくふわりと微笑んで。
「だからな、真夢。俺と結婚してくれ」
その言葉に。表情に。私の全てがぞくぞくする。嬉しくて、身体が熱くなる。繋がった部分も、子宮も、きゅんきゅんして弾くんを包み込んで離そうとしない。締め付けられた感覚を受けたのか、弾くんがまた抽送をしてくれる。
「うん、する、けっこん、する……!あっ!あ、ああぁ……ッッ!!!」
「真夢、可愛い……愛してる……」
弾くんの精液が子宮に直接注がれていくのを感じて、私は今日一番の快楽に溺れていった。
そのあと、弾くんは私をお姫様抱っこしてお風呂場に連れて行った。湯船にはまだお湯が張ってある。
「あれ?お風呂洗ったんじゃ……」
「ん……実はどうしても2人で入りたくて残しといた。後でちゃんと洗うよ」
もう、本当にしようのない人!!どこまで私をきゅんきゅんさせれば気が済むわけ!!?
「ほら、早く綺麗にしようぜ」
そう言って弾くんはバスチェアに腰掛けて脚を開く。
「……えっ」
戸惑っていると、「早く」と催促される。
「えっと、あの、私が……するの……?」
「そうだ。俺は真夢を、真夢は俺を綺麗にするんだ。あ、勃たせちまったらもっかい、だかんな?」
そう言ってにししと笑う。
もう!!!本当に!!!どうしようもないんだから!!!
「おばかさんなこと言ってるんじゃありません」
そう言って頭からお湯をザバーッとかけると
「ぶわっ!?ちぇっ、だめかよ」
とかぶちぶち言ってる。
「また今度ね」
「えっ♡本当か!?」
「ほら早く綺麗にして一緒にあったまろう」
「真夢〜〜♡」
久しぶりに2人でゆっくり浸かるお風呂は本当にあったかくて幸せだった。
後ろから弾くんに抱きしめられながら温かいお湯に浸かると心も身体も温まるようで、そしてそれは弾くんも同じみたいだった。
お風呂から上がって、2人で布団に入る。
「今回の事で嫌と言うほど痛感した。俺はやっぱりお前がいないとダメなんだ。だから、これからもずっと側にいてほしい。一緒に生きていこう」
そう言った弾くんの目には涙が浮かんでいて。それを拭うようにそっと口づけると、そのまま抱き寄せられる。
「うん、ずっと一緒にいる。ずっと一緒だよ。だって……」
「だって?」
「私、弾くんの側にいる為に生まれてきたから」
そう言うと弾くんは少し驚いた顔をしたあと、今まで見た中でいちばん優しい笑顔を浮かべた。
「俺もだよ。俺も真夢の側に生まれるために生まれて、生きてきたんだと思う」
「ふふ、嬉しい」
そう言って笑うと、弾くんは私の左手を取って薬指に口づける。
「真夢、結婚しよう」
「はい、喜んで」
そう答えて今度は私から口づける。
「明日、ちょっと出かけないか?」
「ん?どこ行くの?」
私たちは話しながら何度もキスを交わして、お互いを求め合い、愛を伝え合って眠りについた。
*.。+o●︎*.。+o○︎*.。+o●︎*.。+o○︎*.。+o●︎*.。+o○︎*.。
「あれ?弾?」
「あ、本当だ、弾〜!」
翌日、街を歩いていると三人組の男の人達が私達の所にやって来た。
「あ?おー!お前らか!」
弾くんも笑顔で彼らに挨拶をする。
「こないだは楽しかったな、飲み会……ん??」
皆んなから死角になっていた私の事を視認すると、途端に三人の顔色が変わる。
「あ、あーーーー!!こ、この子、もしかして……!!」
「こんにちは、あの、初めま……」
私の挨拶をかき消すように彼らは盛り上がる。
「アレだ!!何だっけ!?ふとんちゃん!?」
「バカ!!アレだよ、そうだ、まくらちゃんだ!!」
「嘘だろ!?実在したのかよまくらちゃん……!てっきり、ワンチャン弾の妄想かと思ってたのに……」
「マジかよ!?写真より更に可愛いだなんて……!!」
「お前らうるせえぞ!!真夢がびっくりしてんだろ」
弾くんが大騒ぎする彼らを制する。
「ごめんな、こいつは俺の高校時代の友達で……こないだの飲み会のメンツにいた奴らだ」
「そうなんだ。こんにちは、真夢です」
「おい、嘘だろ声まで可愛いぞ!?」
「やべえ……こんなん犯罪じゃねえか……」
「弾……俺たちに黙ってこんな可愛い子と……」
「だからお前らうるせえっつーの!黙ってねえだろ!こないだ散々紹介したろ、写真だけだったけどよ」
「ああ、うん、まあそうだけどさ……」
弾くん達のやりとりを見てて、楽しいなと思う反面弾くんの恥ずかしい惚気話を思い出す。
「あの……弾くんがある事ない事言ってしまったみたいでごめんなさい……!そんな大したものではありませんから、私なんて」
私の発言で彼らは更に「うわぁ……」と言った感じで弾くんを見る。
「何てこった……中身まで可愛かった……」
「弾、頼む。妹だって言ってくれ。親戚の姉ちゃんでもいい」
「お前らいい加減にしろよ」
弾くんが呆れたように言う。すると、1人が何かを思い出して焦ったように弾くんに話しかける。
「あ!!お前、弾、こないだふざけて言ったこと、まさか実際言ったりやったりしてないよな!?」
残りの2人も顔を青くする。
「そうだ!!やべ、そういえば……言ったな、何か盛り上がってつい……」
「頼むぞ、弾!?」
彼らの言葉に弾くんはわなわなと震えだす。
「…………んだな」
「え?」
「やっぱりお前ら、俺のこと揶揄ってたんだな!!!?」
「「「ええええええ!!?」」」
大騒ぎの4人男子を前に私は思わず吹き出してしまった。
「ほらね、弾くん。やっぱり冗談だったでしょ?」
くすくす笑う私を見て
「ああああ真夢、ごめんなあーー〜……!!」
と言って弾くんはまたべそをかいて私に引っ付いてくる。それを見た彼らがまた盛り上がる。
「ギャアア何コイツ!!おい弾!離れろ!!」
「いや待て、まくらちゃん、やっぱりとか言ってたぞ」
「……てことは、弾まさかお前……」
弾くんは彼らをギッと睨んで叫ぶ。
「お前らが変なこと吹き込むから、真夢も俺も泣くことになったんだぞ!!?」
それを聞いた彼らは仰天する。
「ええ!!?てことはマジで実行したのか!?」
「嘘だろ……!?うわあ、弾はいいとしてごめんな、まくらちゃん!!」
「俺たちが悪かった!!許してくれ!!」
そう言って3人は頭を下げる。
「やだ!やめて下さい!本気にしちゃう弾くんもアレなんだから」
私が笑って顔を上げてと促すと、彼らは申し訳なさそうに何度も謝ってくる。
「ほんとごめん!!まくらちゃんを泣かす気は無くて……!」
「揶揄う相手と揶揄い方が悪かった……許してくれ……」
「何か俺がバカみたいじゃねえかよ!!?」
「本当にやるやつがあるか!!十分バカだ!!」
彼らのやりとりを見て私は爆笑してしまう。
「あはははは!もうやだ〜!!おっかしい、もう皆んなやめてよ〜!!」
転がるように笑う私を、皆んなぼんやり「可愛いかよ……」「な……」なんて言ってるのは全然耳に入らない。弾くんは「真夢〜♡」と私を抱きしめる。
「やべえ……俺、こんな可愛い子が彼女で、こんな可愛い笑顔で笑ってもらえるような男になりたいわ……」
それを聞いた弾くんがドヤ顔で待ったをかける。
「概ね賛成だが、ちょっと違うぞ。お前らのせいで俺と真夢の関係は少し変わっちまった」
「はあ?何だと?」
「まさか、別れ……!?」
彼らがまた焦りだす。
「もう、意地悪するのやめなよ弾くん」
私の言葉で弾くんはニッと笑い、そうだなと言って彼らの方を向く。
「改めて紹介するぜ。『妻』の真夢だ」
「初めまして。八波真夢です」
私達の言葉を聞いて彼らはあんぐり口を開ける。
「「「えええええ!?!?」」」
「弾お前……!!」
「マジかよ!?!?」
「嘘だろ……!?」
驚く彼らに弾くんは嬉しそうに続ける。
「お前らには色々迷惑かけたし、かけられたけどよ、でもまあ……感謝してるぜ。今回の事が決定打になって、たった今入籍して来たところだ!」
「「「えええええ!?!?!?」」」
「うわあ……すげえな、弾……」
「お前らのホラのおかげで、俺は真夢のいる人生を手に入れたんだよ」
弾くんが誇らしげに言うと、三人組は揃ってため息をつく。
「……やっぱお前スゲエわ……」
「やべ、揶揄うどころか幸せのお手伝いしちまったよ……」
「ちくしょう……羨ましいぞこの野郎……!!」
彼らは盛り上がりながら私達の事を祝福してくれた。必ず結婚式には呼んでくれよ!!と言った彼らと笑顔で約束をしてその場を離れた。
彼らと会ったのは、実は入籍を済ませた市役所からの帰り道だった。
元々両家ともに結婚は賛成で、同棲するときに挨拶は済ませていたので、急は急だけど今日両家に連絡して顔を出し、入籍の許しを貰ってきたのだ。
婚姻届を出して受理された瞬間、今まで以上に弾くんの事が愛しく思えて仕方なかった。
「これで名実ともに夫婦になれたな」
弾くんは照れ臭そうに言った。
「うん。ありがとう、弾くん。私を選んでくれて」
「選ぶも何もねえよ。俺にはお前しか居ないんだよ、真夢」
そう言って優しく嬉しそうに微笑む彼に、私は心の底から安心感を覚えた。
「これからもよろしくな、奥様」
「こちらこそ、旦那様」
見つめ合ってお互いに吹き出す。そして自然と手を繋いで歩き出した。
彼らに会ったのは、そんな帰り道だった。
21歳同士で結婚した私たち。
これから長い将来、ずっと今みたいにイチャイチャラブラブしている訳にはいかないだろう。倦怠期だってあるだろうし、気が乗らない時だって、シンプルに時間がない時だってあるかもしれない。
家族が増えればそれだけ幸せも悩みも増えて、本当にセックスレスの時だってあるかもしれない。
それでも、どんなことがあっても一緒に乗り越えて行こう。きっとそれは幸せなことだから。
「……真夢、何考えてんだ?」
「うーんとね、弾くんと一緒なら、何でも楽しいなって」
「……!! 真夢〜!!」
「きゃっ、何すんのよお」
「お前が可愛すぎるからだよ〜」
弾くんが大好きだから、毎日が楽しくてたまらない。弾くんもそうだったらいいな。
「当たり前だろ」
「あれ? 声出てた?」
「出てた出てた。出てるのはデカい胸だけにしとけ」
そうやって明るく笑うこの人を。
「もし、将来本当にセックスレスになっても一緒にいてくれる?」
「んーー〜、今は考えられな過ぎて想像もつかねえな」
「またそんなこと言って〜……」
わざとらしくため息をつく私に、愛しく笑いかけてくれるこの人を。
「いや、でもさ」
「ん?」
「俺がお前といない人生を選ぶなんて事だけは、何が起きても絶対あり得ねえよ。それくらいは信じてくれてもいいんじゃねえか」
「…………」
この先もずうっと。私は愛し続けるんだろう。そしてそれは俺もだ、と彼は笑う。
「愛してる、真夢」
「私もだよ、弾くん」
「手続きやら式の準備やら報告やら、色々忙しくなんな!一緒に頑張ろうぜ!」
「うん!」
命が尽きるその日まで、一緒にいることを誓い合うのだった。

コメントを残す